転職 お金 人間関係と 日本の伝統

人材業界20年の経験を元に 転職や職場環境、評価アップ、スキルアップ、人間関係の改善や対策に触れて行きます。また 日本の古典や伝統的価値観を交えて語って行きます。更には経済学で言う新自由主義が諸悪の根源と考えており、その方向からも述べます。なお政治的には中立で主義主張はありません。

実質賃金マイナスを 人材コンサルタントから見て

やっと実質賃金マイナスの報道が下火になってきたので、人材コンサルタントだった僕が見てきた、賃金の光景について書きたいと思います。

 

まず、実質賃金と言う統計データについて。

今回実質賃金と言う言葉がよくニュースで出てくるようになりましたが、一般の方が日常的に触れる経済用語ではないと思います。

よく言う賃金と言うのは、経済学用語で言うと名目賃金のことであって、今回言われている実質賃金とは少し異なります。実質賃金と言うのは、名目賃金から物価の変動を加味した数字のことをいいます。

例えば、賃金(名目賃金)が0.1%上昇したとしても、物価が0.2%上がれば、差し引きした実質賃金はマイナス0.1%と言うことになります。

逆に、賃金(名目賃金)が0.1%下がったとしても、物価がマイナス0.2%だったならば、差し引きした実質賃金はプラス0.1%と言うことになります。このように、賃金と物価を加味した統計数字なので、より現実の生活収入に近い数値だと言われています。

さて、先日までの国会では、安倍政権が実質賃金マイナスを隠していた、虚偽の統計発表だと野党が追求していましたが、ここではその点は置いといて、
実際の実質賃金の動向について記していきたいと思います。 

 

 

僕が注目しているのは、有効求人倍率との連携です。現在の有効求人は実は1.63倍と非常に高いレベルにあります。どれほど高いかと言うとバブル期の最高で1.4倍台の前半でした、瞬間最大でも1.46倍と、現在はバブル期を大幅に上回る求人状況なんです。

一方で、リーマンショック直後の不況時には、たった0.43倍の有効求人しかありませんでした。


100人の人が仕事を探しているとして、バブル期には140件以上の求人があり、リーマンショック後には40件しか求人がなく(医者やナースなど景気に無関係職種のみで一般職は皆無)、それが今は160件を超える求人があることになります。

当然、賃金は上がってしかるべきで、リーマンショック時よりも格段に高くて当然で、バブル期よりも高くてもおかしくない状況なんです。普通に考えて当たり前ですよね。

 

ところが実際どうかと言うと、リーマンショックからほぼ毎年実質賃金は下がり続けていて、あまりにも不思議な状況なんです。

理由は何かといいますと、求人のほとんどが非正規の点にあります。直近で言っても、有効求人倍率1.63倍に対して、正社員有効求人倍率は1倍をわずかに上回る程度と、ほとんどが非正規求人の、あまりにいびつな求人状況なんです。

 

派遣社員の事務職で関西圏の平均時給は1300円程度ですので、年収計算すると1300円× 8時間× 20日×12ケ月=約250万円になります。これでは生活に困窮する、失礼ながら低所得者層に該当してしまいます。


この層の求人ばかりが増え、低所得者層が拡大したとしても、全体の景気拡大につながるわけがなく、統計的にも上のように、求人は増えているのに、実質賃金が低下し続ける、異様な状況になってしまいます。

 

僕が人材コンサルタントだった頃は主に事務系の派遣社員の方々を担当していましたが、
その方たちは、なにも特段派遣を選んでいるわけではなくて、
本当は正社員になりたいにもかかわらず、求人がないので仕方なく派遣就労している方々がほとんどでした。


しかし派遣では賃金が低いだけでなく、ほとんどが3ヶ月ごとの契約更新であるため、将来不安が大きく、安定感のない日々を過ごしています。
さらには職場環境改善も強くは求めることができず、非常に弱い立場で我慢しながら日々の仕事を行っています。
いわば 契約終了に怯えながら、不合理と 決して少なくないセクハラをかわしながら、不本意ながら就業しています。 


さらに言うと、最近は外国人労働者が増える傾向が強く、賃金の低下圧力がかかっています。
コンビニなどが顕著な例ですが、安い外国人労働者を確保できるので、経営判断とすれば、日本人を高い時給で求めるよりも合理性があり、余計に賃金の上昇が難しい状況になっています。

 

以上のように、僕が人材コンサルタントの時に見てきた光景からすると、実質賃金のマイナスは、何年も前から深い問題として続いており、今後とも続いていくのだろうな、と確信しているわけです。

 

なので、今回野党の追及にはある意味期待したのですが、いかんせん追及ポイントがズレていました。

 


そして最近、先進国、発展途上国のほかに、衰退途上国という言葉があるそうで、今の日本がそれにあたるそうです。

 

でも僕は、2679年もの悠久の歴史を刻む我が国を 素晴らしいままに 子供たちに引き継ぎたいと切に願っています。

 

僕がこのブログを運営するのも正にそこに理由があり、いろんな投稿を不定期ながら行っています。

 

賃金上昇を当たり前に期待でき、明るい未来に子どもを住まわせたいと 若いカップルが 安心して子どもを宿せる日本であって欲しいのです。