日本的組織のお手本は 日本神話にあるという話
去年の夏 出雲に家族旅行に行ってきました。
別に縁結びを祈りに行ったのではなく、私の好きな日本文化から、
最近 古事記にはまり、八百万の神々の舞台を訪ねたいという思いからでした。
古事記の好きなシーンの一つが大国主の国譲りです。
戦闘を経ずして国を譲り、また譲った大国主は天に届くような立派な
出雲大社を作ってもらうという物語は、
争いを嫌う日本人の国民性を表しており、また十七条憲法や、大政奉還による明治維新にも見てとれます。
さて 天照大神を筆頭にする高天原から、武門の神様である建御雷神(タケミカヅチノカミ)
が使いに来られ 国譲りを迫ったとされる伊耶佐(いざさ)小浜(おはま)が
その時の最大の目的地でした。
建御雷神が言うに
天照大御神の命もちての使せり。
汝(な)が領(うしは)ける葦原の中つ国に、
我(あ)が御子の知らさむ国と言よさしたまへり。
かれ汝が心いかに。
とあります。
明確な対比が、
1 大国主が領(うしは)ける国
2 我(あ)が御子の知らさむ国
「知らさむ国」の「知らさむ」が、「シラス」です。
特定の権威のもとに、みんなが集い、そこで情報を共有化して、みんなで、何事かを行う。
これが「シラス」における統治手法です。
この二つがどのように違うかというと、たとえば新田の開墾工事を行うとします。
そのとき、主君の命令によって、民衆を強制的に使役して田を開き、
開いた田は主君のものとする。
ひとりひとりの民衆は、自分が何のために狩り出され、そこで労働をしているのか、
まったくわかりません。
ただ、剣を突きつけられ、ムチでしばかれるから、そこで働いています。
これが「ウシハク」による統治です。
これに対して「シラス」は、まずはみんなで「新田を開墾しよう」という
問題意識を共有化します。
それぞれがどこを担当するかみんなで話し合って決め、決まった事をみんなで一致団結し、
協力し共同して、これを実現します。
大国主神は、この違いの意味を悟ったからこそ、なるほどと納得し、国譲りを行いました。
そして、理解を示した大国主神を、高天原の人々は尊び、大国主のために天にも届く壮大な
神殿を建てて、その功績を讃えたのです。
要するに、世界中が19世紀までずっと「うしはく」という統治形態しか知らなかった
世界にあって、唯一日本では、はるか太古の昔から「シラス」国を築いて来たし、
それが天照大神(あまてらすおおみかみ)様の御心であるということなのです。
【ねずさんブログ参照 http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-2161.html】