求人は多いのに 給料が上がらない 3つの社会的理由
『求人は多いのに給料が上がりません。』
人材ビジネスの営業をしていた時に何度も言われたことです。
確かに、今は仕事がいっぱいあるにもかかわらず給料が上がらない状況です。
理由はいくつかあります。
3つの統計データを紹介したいと思います。
生産年齢人口比率
1つ目が生産年齢人口比率と言う統計データです。
生産年齢人口とは15歳から64歳までを言います。15歳が果たして労働者として扱えるかどうかは疑問のあるところですが、世界的に生産年齢人口と言う定義が15歳から64歳までなので、この統計数値で話をします。
全人口のうち、生産年齢人口の占める割合を生産年齢人口比率といいます。生産年齢人口比率が高いほど仕事をしている人の割合が高いといえます。
日本で極めて低かったのが戦後すぐの時代で約60%でした。理由としては若者の戦死と、第一次ベビーブームが挙げられます。
その後40年で約70%まで生産年齢人口比率は上がったのですが、1980年頃をピークに減少に転じました。今では20数年かけて再び60%まで戻ってしまっています。
理由は第一次ベビーブーム世代が60歳を超える一方で、少子化で若者人口が極端に減っていることが挙げられます。
よって、今求人が多いといっても、
必ずしも景気を反映しているわけではなく、年齢構成の変化による労働人口の減少が主原因ですので、
給料に影響があるのは限られてしまうんですね。
正社員の有効求人倍率
次に正社員の有効求人倍について。
現在の有効求人倍率は1.63倍で、バブル期の最高値である1.46倍を大幅に上回っています。
しかしながら正社員に限った有効求人倍率は、この状況にもかかわらずやっと1倍を上回っている程度(1.13倍)に過ぎません。
ほとんどが非正規雇用の求人なんです。これでは全体の給料が上がるはずはありません。
仮に、非正規にしては 高条件(東京を除く)の時給1300円だったとしても、
1300円× 8時間× 20日×12ケ月= 250万円に過ぎず、低所得者層に位置します。
よって、いくら求人が多いと言っても、
もしくは 非正規の条件が大幅改善という記事があっても、
全体的には給料は上がってません。
正社員事務職の有効求人倍率
3点目に、正社員の一般事務職の有効求人倍率は0.34倍です。
全体の有効求人倍率が1.63倍の状況なのに、ありえない低さです。
理由は、女性の社会進出が増えて、事務職求人と希望者との需給バランスが大きく崩れている事が原因と思われます。
もしくは、雇用機会均等法前の収入レベルまで女性の給料は下がっていると同時に男性の給料はさほど変わらない、と言えるかもわかりません。
いずれにしろ、この女性事務職の有効求人倍率の低さも、全体の給料が上がらない大きな理由といえます。
まとめ
以上の3つの統計データから、自分の給料が上がらない本質的な一面が見えてくるかと思います。
サラリーマンでは給料が上がらないと言う悩みは大きなウェイトを占めますが、
上記3つの理由が原因である以上、
会社の批判をしたり、会社の将来性を疑ったり、自分を消耗させても、全てが的外れでとんちんかんの理由、と分かっていただけるかと思います。
自分の心の安定を掻きむしるのではなく、理由を冷静客観的に知った上で、努力するベクトルを誤らないのがとても重要だと思うんです。