給料が上がらない理由
ある意味、今年は歴史的な好景気に違いありません。
有効求人倍率はバブル期を超えています。
日経平均株価も先日、バブル後最高値を一時的に更新しました。
しかし、給与が上がらないと言う声を本当によく耳にします。
給料が上がらないって辛いものですね。
こんなに頑張ってるのに、と腐ってしまいそうになってしまいます。
でも負のエネルギーを会社上層部に向けても全く生産的ではありません。
まして、自分を卑下することも全く生産的ではありません。
そこで、
総務省統計局のデータから賃金の推移について述べたいと思います。
名目賃金と実質賃金と言う統計があります。
名目賃金というのが給与額の事、
実質賃金というのが物価の増減を加味した給与額こと、を言います。
より重要なのは実質賃金のほうだと言われています。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/30/3008p/xls/3008t06p.xls
その実質賃金の推移を見ると、驚くことにリーマンショック以降ほぼ一貫して下がり続けていることがわかります。
理由はいろいろありますが、デフレからの脱却がまだできていないと言うのが本質のようです。
経済学で言うと、
今主要な経済学を新古典派経済学といいます。どういうことかと言うと、やった者が報われる社会が最も素晴らしいと言うイデオロギーをベースに考えられています。
いわゆる弱肉強食です。
自己責任なので 政治の責任は問われにくく、全てで自己責任を問われると言えます。
一方で、ケインズ経済学と言われる経済学もあります。経済学の第一人者と言われるクルーグマンやスティグリッツがこの経済学派に分類されます。にもかかわらず、日本ではかなりマイナーな経済学に分類されています。
ケインズ経済学の基本的な考え方は、政治が指導してインフレやデフレの調整をすることで、賃金の向上や金利の統制を政治が行うことが役目としています。
つまり、今の日本では、政治介入は最小限に、個々が成果を最大限に享受することが良いことだと言う風潮があります。
クルーグマンが提唱する ケインズ政策とは真逆です。
話が変わりますが、
数年前の民主党政権時代に私はFacebookを始めました。その頃の野党自民党の政治家の中ですごくいい発信をしていた人物がいます。
真っ当な ケインズ理論で国民所得を向上を訴えていました。
総理大臣を昔やったことがある人と、一つ前の総理と同じような名字の人でした。
名前を安倍さん、菅さんといいます。すぐに友達になって、その数ヶ月後に新総理大臣と新官房長官に就任されました。
なので、日本にもケインズ政策が実行されることを期待して、明るい日本の未来を確信しました。
やがて、国土強靭化という、ケインズ理論で災害対策まで行う 一石二鳥どころか、一石三鳥、一石四鳥の政策がまとまりました。
ところが、なぜかその後、
ケインズ的政策はストップして今なお、新古典派経済学が主流な経済政策が続き、
実質賃金は下がり続けています。
残念ながら これでは実質賃金は上がりません。
しかも 増税まで決まってしまいました。
皆さんの給料が上がらないのは、個人や会社の資質でなく、今の日本での経済政策により、全体の賃金が下がっているという事実を知っていて良いと思います。